結婚と同時にカナダで生活をすることになった。
夫がカナダ政府の奨学金を得る事が出来、博士号取得のため、トロントのヨーク大学へ留学する事に。
何だか、かっこよさげな話だが.......とんでもない貧乏生活の始まりだった(笑)。
夫は当時大学院生で、私も大学を卒業して少し働いただけ。
若いというのは本当に恐ろしい事で、なけなしのお金をにぎりしめ、4つのスーツケースのうち、ひとつにウエディングドレスをつめこんで(向こうで結婚式を挙げる方が安上がりという何とも夢のない話です).......仮に博士号を取得できたとしても、就職等、どうなるかわからないのに。
私の大学のゼミの先生には、本気で反対された(笑)。
飛行機が嫌いで、海外旅行なんて一度も行った事がなかった。
日本が一番だと思ってた。
そんな人間が、片道切符で、4年間トロントで生活をすることになったのだ。
生まれて初めて飛行機から見る”海外”は、緑と湖が圧倒的に多く、”あ〜日本とは何となく違うなあ”と。
毎月600ドルの奨学金のうち、400ドルが寮費(家賃&光熱費)に消える生活。
でも残りの200ドルでも、贅沢をしなければ、ちゃんと食べていけた。
日本はちょうどバブルの最盛期だったようだ。
旅行者、駐在員の方はとにかくお金持ちでびっくりすることの連続。
私はもちろん洋服も買えなかったし、1ドルのコーヒーすら我慢する生活。
でも不思議と辛く感じた事はなかった。
あの頃の貧しく、つつましい生活。
カナダで娘も生まれ、ますます貧乏生活が加速して行ったが、幸せだったな。
大学の敷地の中に寮があり、15階の部屋の窓から、娘と一緒に、夫が帰ってくるのを毎日見ていた。
夕食を食べて、3人で散歩する毎日。
敷地の中には小さな池があったり、リンゴの並木道があり、牧歌的な風景の中で過ごした4年間。
カナダは財政的に決して豊かではないのに、こうして留学生を受け入れ、娘にもカナダ国籍を与えてくれた。
もし今、一日だけ過去に戻れるとしたら、小さな娘を連れて、夕暮れの中、あの池のほとりを歩いてみたい。
日本にいる外国人、外国にいる日本人。
遠い故郷を思い、空を見上げている人がいるのかなあ。
あの頃の私がそうしていたように。
写真は、洋服を買えなかったため、娘のために編んだセーターです(時間だけはたっぷりあった)。
今じゃ、考えられない!不器用な人間でもやれば出来る(笑)♩
日比野さんのそんな話、初めて聞きました♥
返信削除私は大学時代に日比野さんと出会って、
仕事が超できるのにフランクで明るくて皆に好かれるってすごい!と憧れておりますが、
この記事を読んだら今の私と同じくらいのときはこんな生活をされていたんだな~と思って変な感じです笑
お金はなくても、愛に溢れた素敵な生活ですね!
YUKOちゃん、コメントありがとうございます。ちょっ、ちょっと、ほめすぎちゃう? 今度、ごちそうします(笑)! そうだね、ちょうどYUKOちゃんと同じ年くらいだね。失敗しても、傷ついても、全てが宝物になる年代かも♩ 頑張って下さいね。
返信削除日比野さん、貴重な時間ですね。あのころ日本経済は空前の好景気。失業なんて考えられない。いつでも会社を渡り歩いて行ける。20代の若者にもヘッドハンティングはあるし、20代の社長さんもいた。毎年海外旅行にも行けた。僕のいたIT業界はね。
返信削除中国、韓国が台頭し、インドやベトナム、東南アジアが世界の生産拠点になりアジアの生活水準が上がってきた現在、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と社会学者エズラ・ヴォーゲルが世界中に語った日本がまた来ることはないでしょう。幻さ・・・・。
一度、過ぎた時間には戻れない。
でもカナダでの生活はいつも心に残るでしょう。
福岡での生活や横浜での大学生時代も貴重な財産ですね。
hiroさん、コメントありがとう。そうだったんですね、バブルの頃の日本を知らないので、想像するだけだったのですが。すごかったんですね。いやいや、ジャパンas NO1、必ず取り返しましょうよ。てか、取り返してほしい!特に貴社に(笑)。同じ田舎から出て来て、ずっと今まで仲良くしてもらって、hiroさんも私にとっては財産ですよ(なんちゃって!なんかおごってね♩)
返信削除大学の医局員も同じように苦しい生活でしたよ。 大学を出て25、6歳でしたが、まだ無給の時代で、hiroさんはじめ皆さんはバブル経済を謳歌していたんでしょうが、僕らは時間はあるがお金が無いという状態でした。 多分アルバイトを含んでも十五万くらいかなぁ。 でも医局の先輩によくおごってもらったりして、生活には困ってはいませんでした。贅沢なんてできないけど、仕事の都合も好き勝手できたし、よく飲みにもいってたし、楽しい時代でした。 でも、あの状況ではきっと結婚はできなかったでしょうね。
返信削除キヨタカ君、そうだったんですか!驚きました。やはりそういう積み重ね、ご苦労があったんですね。ちょうど世の中はバブルだったし、お金のない自分と世間のギャップを感じてはいました。でも、不思議ですよね、全然辛くなかったというか(笑)。夢があったからかな。階段を上って行くように、少しずつ生活を築いていく楽しさを経験できたのは、ありがたいなと。最初から何もかも与えられていたら、つまらない人生ですよね。お互いがんばりましょう。
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