2014年3月2日日曜日

下町ロケット

ここのところ、ずっと本を読んでいなかった。
異常に忙しい日々が続く中、本を読む物理的な時間を確保するのも難しかったこともあるが、考える事が多すぎて、本を読もうという気にもならなかったというのが本音だ。

今日は雨で、予定していた事が出来なくなった。
ふとベッドの脇に、池井戸潤の『下町ロケット』が。
買ってはみたものの、なんとなく放っておいた本だ。

読んでみた。
止まらなかった。

町工場と巨大企業。
弊社は町工場にも及ばないほど小さな会社だ。
でも、クライアント様は90%以上が上場企業。
国の紙幣に関する仕事もした。

その中でわかったこと。

会社の規模は違っても、必ず心が通じる。

志。

これが同じであればプロジェクトは成功する。

詳細は書けないが、あるプロジェクトで、私は自分の能力、知識のなさを思い知らされた。
同時に、プロジェクト関係者から、あきれられ、嘲笑された。
そうしているうちに、時間との戦いの中で、当初思い描いていた方向とは違うものが出来上がりつつあった。
”仕方ない、標準以上のものは出来上がっているのだから、クライアント様もこれで満足してくださっているのだから...これで良しとしよう。”
”もういいじゃないか、頂く費用は同じ。ここで悪あがきをするのはやめよう” と自分に言い聞かせた。

でも...悪あがきをしてしまった。

電話を手に取り、関係者に
”私はいいものを作りたかった。本当に残念です....”
逆切れと受けとられても仕方ない言動だったかもしれない。
私の声は震えていたと思う。
私が電話をしたところで、事態は変わらない。
でも、ここで何もしなければ、これから先の会社経営もそうなってしまうだろうと何故か強く思ってしまった。

電話は終わった。
仕方ない...私の力不足だった。
電話をしたことを少し後悔した。

その数分後だった。
電話の相手から連絡が入り
”日比野さん、やっぱり僕もいいものを作りたい。出来るかどうかわからないけれど、今からでもやってみよう” と。

プロジェクトの間、近寄りがたくて、腹を割って話せる相手ではなかった。

何だかこんな事を書くと恥ずかしいのだが、その電話のあと、ずっと一人で泣いた。
30分以上、泣き続けた。
街を歩きながらも、思い出して泣いた。
夕ご飯を食べながらも、泣いた。

自分のふがいなさ
コミュニケーションをうまくとれなかったことへの後悔
頂く費用は同じ、それならあえて面倒な事をしない方が良いのではと一瞬でも思った自分への怒り

でもそれ以上に泣いたのは
”良いものを作りたい” という想いが一つになった事の感動だった。

結果的に、プロジェクトは、全員がこれ以上ないと思えるような成功で終わった。

最近、東京オリンピックを控えた経済効果なのか、アベノミクス効果なのか、今までになかった風を感じている。
新たなビジネスの話や、提携の打診が多くなって来ている。
ありがたいことだ。

下町ロケットを読んで、初心に戻れた気がします。

小手先のビジネスの知識なんかより(そんなもの最初から無いけど 笑)
私は自分が信じる方向に行こうと思う。
なぜ起業したのか、なんのために起業したのか、何を目指すのか
自分に問いかけながらやっていこうと思う。














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